誕生日はプロポーズ記念日。

 

プロポーズは、このメリーゴーランドの上でした。

今回は夫とのなれ初めを書いていきます。

 

プロポーズされた、したことは何回ありますか。

 

プロポーズって一生に一回、てイメージだけど、現実はそうでもない。

よく女は「適齢期になるとゼクシィをちらつかせる」なんて都市伝説があるけど、男もそうだ。

 

私は長く付き合ったシングルファザーの彼氏から、何度となく結婚を希望され、その度に「今はまだ考えられないや」と逃げていた。

20代、つねに「海外行きたいなあ」と思ってる私にとって、結婚は「自由を奪う墓場」だった。

実際には、結婚したからって不自由になることはなかったんだけど。

 

その辺の心理は、このブログに書かれていて「なるほど」と思った。

もしかして少子化問題って10年後には解決してるんじゃないの?非婚が進む30代と早婚志向な20代の溝 | トイアンナのぐだぐだ

 

特に共感した部分を引用する。

ヒアリングからは20代に比べて、30代女性のほうがよりジェンダーに縛られていることがわかる。女性は家へ入ったら家庭を重視するもの、外へ飲み歩いたり同性グループで旅行へは行かないもの、夫より家事を負担するもの……そういった意識もまた、結婚に対し「まだ遊びたいから」と先延ばしする理由となっているようだ。

もしかして少子化問題って10年後には解決してるんじゃないの?非婚が進む30代と早婚志向な20代の溝 – トイアンナのぐだぐだ

 

最近は、告白を伴わないお付き合いも多い。

私も夫以外の彼氏とは、ちゃんと「付き合いましょう」とは言わないままに、いつのまにか付き合っていた。

 

しかし、結婚はそうはいかない。

ちゃんと「結婚しましょう」とお互いに決め合って、両親にも挨拶して、役所にも行って。嫌になっても簡単には別れられない。

ひとことで言うと、「なんかめんどくさい」だった。

 

夫とはお付き合いのときから覚悟していた

 

たまに、出会った瞬間に「この人と結婚する!」とわかったという話を聞く。

夫との出会いは、私が働いていた日本語学校で、彼は日本留学のための集中コースにやってきた、30名の学生のうちのひとりだった。

 

メキシコ人が30人も集まるとかなり騒々しくて、それぞれの名前を覚えるだけでたいへんだ。第一印象も何も、あったものじゃなかった。

 

そんな忙しい毎日の中で、最初は教師と生徒としてFacebookを交換し、メッセージのやりとりを重ね、ひょんなことから二人で出かけるようになり、そして二度目のデートで告白された。(偶然にもバレンタインデーだった)

 

期間は短かったけど、夫は告白まで相当悩んだようだ。

その3週間後には日本への留学が決まっていたし、海をまたいだ遠距離恋愛がどれだけ困難か、想像できたから。

夫も私も、当時立派なアラサー。恋愛で傷つくのはもうコリゴリ。怖ければ、なかったことにして留学してしまうほうが簡単なのは、お互いわかっていた。

 

悩みに悩んだ夫に告白されたとき、こう言われた。

「僕の最後の恋人になってほしい」

 

ああ、これを受けるには私も同じ覚悟をしなければいけない。

この人と結婚するにしてもしないにしても、同じ気持ちで向き合わなきゃいけないな。

 

出会ってまだ1か月だった。どんな人か、ほんとのところはわからなかった。

でも、「嘘がつけない人」ということだけはわかっていたので、信じて「イエス」と答えた。

 

誕生日デートは遊園地へ

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夫との交際がスタートしたものの、学校には秘密にしていた。

ほかの学生の目よりも、同僚のウワサ好きの日本人教師たちの目が、本当に嫌だった。

 

交際から2週間後の私の誕生日。たまたま日曜だったので、遊園地に行った。

初めての遠出デート。

 

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覚えてるのは、メキシコで一番高いジェットコースター、「スーパーマン」に乗って、ガタガタと急斜面を上がっているとき。

 

彼が空をながめて、ずっと

「す~き、す~き」

と言っている。

 

え、今このタイミングでまた告白? と思ったが、彼の視線の先には、青い空に出てきた白い月が浮かんでいた。

「つき」が発音できなくて、一生懸命練習しているのだ。

急斜面を上がりながら見つめた夫の横顔を、今でもずっと覚えている。

 

イルカショーを見たり、何度も絶叫マシンに乗ったり、1日を存分に楽しんだ。

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夜も更けてきて、夫が突然「観覧車に乗りたい」と言い出した。

「さっきまで絶叫系しか乗らなかったのに?」と思いながら観覧車に向かうと、早々に本日の運転終了。

 

そのあとしばらくして、また「メリーゴーランドに乗りたい」と言われた。

順番を待っている間、彼の口数がどんどん少なくなる。

「お腹痛いのかな?」とのんきに心配していたが、あとから聞くと異様に緊張していたそうだ。

 

そしてプロポーズが始まる

 

夫はメリーゴーランドの馬車に座りたがったけど空いてなくて、2階のベンチに座った。

回りだすと、彼がおもむろにカバンからこれを取り出し、言った。

「誕生日プレゼントだよ」

 

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おや、これはもう……。ぜったい、ゆびわ、入ってますやん。

 

ちょっと笑いそうになったけど、努めてまじめな顔で、彼の話を聞いた。

まずはスペイン語で、自分の気持ちをたくさん話してくれる。

そして最後は、日本語で。

 

「これからの人生、ヒトミと一緒に映画が見たい、出かけたい、おいしいものが食べたい。全部ヒトミと一緒にしたい。

 

僕と結婚してください

 

私がやっぱり迷いなく「はい」と答えたとき、ちょうどメリーゴーランドはとまった。

 

テンパる夫

 

彼は、私がOKしてくれるか五分五分だったようで(だって付き合ってまだ2週間だ)、超緊張していた。

プロポーズを受けた私に指輪をはめる時も、間違えて右手の薬指に押し込み、

「え、入らない、入らない!」と焦る。

 

冷静に、「ふつう左でしょ」と彼から指輪を奪い、自分ではめた。

「そうか、右の指のほうが左よりちょっと太いんだよ」と謎の知識を披露する夫。短い期間で、私の指を触りながらこっそりサイズをはかり、忙しい中買いに行ってくれたらしい。

 

メリーゴーランドを降りてから、ちゃんと指輪をはめなおしてもらった。

夫の両手ははりつめた緊張の糸が切れ、ガタガタ震えていた。

 

これが、プロポーズの思い出。

今まで男性から結婚の話をされても「めんどくさいな……」としか感じなかったが、夫の場合は「最後の恋人」になることを決めていたので、迷いはなかった。

 

誕生日から1週間後、夫は日本へ留学。遠距離恋愛とマリッジブルーが重なってどん底のメキシコ生活を送ることになるが、それはまた、別のはなし。

 

予想通り、結婚生活はおもに手続き面がめんどくさいけれど、夫と私の両親は仲良しだし、メキシコの家族を招いての結婚式は最高だったし、あの頃のいろんな心配が嘘みたいに、幸せに暮らしている。

 

 

 

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